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2011年6月14日火曜日

東北地方太平洋沖地震/石巻:夏に網戸がない! 被災地の「臭い」と虫たちのはなし

発災から3カ月が過ぎ、石巻市内でも、だいぶ復興してきている、という声が聞こえてきますが、それは「一部の地域で」と注釈をつける必要があります。市街地でも、水道・ガスがまだ復旧していないような地区が、まだまだたくさんあるのが、3カ月後の現実です。

ここからは、あまりにショックを受けたので、やや勢いで書きます。

いま、万石浦〜渡波〜湊にかけての海・川沿いの一帯の堆積物やがれきから、ものすごい臭いが発生しています。そのあまりに攻撃的な腐臭に、慣れていない私は、毎回激しい頭痛がするほど。一見、重機が辺りを片付けたように見える地区も、壁や木や、落ちている“何か”に、大量のハエがたかっています。目を向ける先には必ず、黒い集団がうごめいている、という状況です。

こんな絶望的に不衛生な環境が、複数の地区にまたがって広がっているのです。点ではなく、面の光景なんです。

驚くのは、そんな地域にも、人々がけっこう暮らしているということ。普通の人が普通に暮らす住宅街のあった場所ですから、津波で地域が丸ごと全半壊となっても、ぼろぼろながら残った家の2階で生活しているのです。地域は、がれきやヘドロを掘り起こす度に、隣近所からまだご遺体が出てきます。

石巻の人たちは、世界一劣悪な環境に住んでいる。私はそう思います。数々の遺体が腐敗していくそばで、ブルーシート1枚を隔てて暮らしているんです。

在宅避難者を取り巻く諸問題は、臭いの環境以外の、別の部分も明らかになりつつあります。こちらは、他で伝える予定です。ともかく、海沿いの地域は、取材をすればするほど、絶句します。

また、石巻では、まだ蚊は発生していませんが、今後、ハエと同じように大量発生すると思われます。破壊され尽くした町はくぼみだらけ、ゴミだらけですので、海水や汚水、雨水がたまり放題です。
ハエや蚊を媒介とする感染症などが心配です。物資を送る支援を続けている方は、ぜひリストの中に、蚊帳、虫除けスプレーや蚊取り線香を入れてください。もはや、途上国支援と同じです。

津波が壁ごとぶち抜いたので、どの家も、窓がありません。もちろん、網戸も消失しています。サッシの工事だって、順番待ち。これから迎える蒸し暑い夏を、どうやってすごしていけばいいのでしょう。避難所に居場所がなくなってしまったり、周囲に気遣って在宅避難を選んだりした人も多いのに。

ひとりでも多くの人に、この最悪な、3カ月の現状を知っていただき、現地で活動している在宅避難者向けのボランティア団体などを通じて、改めて支援の手をさしのべてほしいと思っています。

放射性物質とはまた別の意味で、人が生きていく環境としては、最悪のことが被災地では起きていると感じます。

(被災者の方々に失礼な表現があるかもしれませんが、ありのままの伝えようと言葉足らずに書かせていただきました。また、行政の不全については、この文中ではあえて触れていません)

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